京進スクール・ワン四日市ときわ教室の吉川です。
先月、三重県教育委員会の方の講演セミナーに出席する機会がありました。
テーマは、特別支援学級など、個別の支援を必要とする中学生がどのように高校入試を受けて、高校ではどのような支援体制が整っているかというテーマです。
県教委のお話ですので、あくまでも県立高校のケースです。
また、デリケートな話題も含むため、必要最低限お伝えできる内容で紹介いたします。
京進全体としては特別支援に関しての専門の職員を配置しておらず、講師間においても特段の研修をおこなっているわけではありませんので、組織だって支援できる体制は整っておりません。しかしながら個別指導を続けていく中でさまざまな学習面の悩みに出会い、私自身もあらゆる進路や可能性の勉強をしています。
特別支援学級の方だけの話ではなく、実際には、検査や診断を受けずに来ているだけで、いわゆる普通学級においても相当数、個別の支援が必要と思われる生徒さんがいると感じています。
現在、学校教育の中で行き詰まり、悩みを抱えられている方すべてに1つの視点としてこの記事で情報提供ができれば幸いです。
特別な支援が必要な生徒とは?
特別支援が必要な生徒の割合は、三重県内では約2%弱といわれています。
つまり、1学年200人の学校であれば、3~4名はいる計算です。
いわゆるボーダーにいる生徒さんを含めると、潜在的にはもっと多くの個別支援が本来いるものと思われます。
支援が必要な項目は、いわゆる学習障害だけに限るわけではありません。
たとえば、聴覚過敏の傾向をもつ子であれば、教室でイスを引く時のギーギー、ガーガーと鳴る音が耐えきれないというケースも、支援の対象と言えます。
紙や教材にコーティングされた光沢を見ていられないという傾向の子、耳で聞く分には何の問題もないが本人の問題ではないところでどうしても紙に書いたものから情報を得ることが難しい子、そして、さまざまな理由で不登校や別室登校などになっている子も、等しく特別な支援が必要です。
なお、県教委および学校側からは、現場感覚で検査・診断が必要ではないかと感じた場合も、WISCなどの検査を受けてほしいとは言えない状況があります。
そこは保護者の方の行動を待つというのが実情ですので、学習定着状況はもちろん、日常生活などを観察して判断していきましょう。
三重県の対応
三重県教育委員会の公式見解としては、学校側(この場合、県立高校を指します)は過度な負担にならない限り、このような生徒の傾向に応じた特別支援を拒まず、受け入れるという方針を法にのっとって表明しています。
それは、必ずしも専用クラスを作るという意味ではなく、個々人の特性を考えて、できる限りで配慮するということです。
まず、すべての県立高校には、特別支援コーディネーターと呼ばれる方が必ず1名担当しています。
ただし、特別支援の教育の専門家というわけではなく、一般教員の方から選んで担当制にしているものだと思われます。専用の研修は受けているとのことです。
このコーディネーターとは別で、専門家として発達障害支援員の方が三重県には3名いるとのことです。そのうち1名は、四日市市の北星高校に籍を置いています。
ただし、年に352回(!)県内の各高校の要精に応じて高校へ出向き、保護者・生徒面談や心理検査などをしているので、北星高校に常駐しているわけではありません。
逆の言い方をすれば、北星高校に行かないと専門的な検査や相談ができないわけでもないので、この点はむしろ安心と言えそうです。
これ以上の具体的な情報については、中学校の先生に相談して、中学校経由で県教委に問い合わせれば、より精細な情報提供があるかもしれません。
小中学校で特別支援を受けている場合は、高校に情報の引継ぎをしましょう
小学校から中学校へ、そして、中学校から高校へ、支援情報を引き継ぐことができます。
むしろ、受け入れ先の学校としては情報提供を歓迎しています。
中学校や高校にこういった情報を引き継ぐことを遠慮したり、高校入試において不利になるのでは?という不安から、情報を提供しないご家庭が一定数いるかもしれませんが、逆に情報の引き継ぎがないほうが不幸になるので、積極的に受け入れ学校へお伝えください(現在通学している学校経由で)。
大切なのは、生徒さんが自分に合った形で教育を受けられることにあると思います。
支援内容をまとめたファイルが学校にはあるはずです。現場判断で卒業時に処分してしまう危険もなくはないので、事前に保護者の方が意向を伝えておくことが大事かと思います。
塾などに通っている場合も、ぜひ通い先に情報をオープンにしてご提供いただきますと参考になるはずです。
調査書(内申)の評価項目に「空欄」ができると高校入試ではどうなる?
公式見解としては、障害の存在や支援学級で調査書に空欄があるからと言ってそれだけで不合格にすることはないと、県から各高校に通知されています。
(空欄は評定0という意味ではありません)
実際の動きとしては、その生徒さんが高校に入ってから、その高校の授業内容についていけるかを総合的に判断して合否を評価するとのことです。
具体的には個々に総合判定ということになりますが、学力検査の結果を重要視することはまず間違いないと思われます。
なお、特別支援学級に在籍していることを持って、県立高校への門戸が閉ざされるわけでもありません。
特別支援をするために高校でも通用する少人数授業をおこなっているというのが県の認識です。
実際は、学校現場での教育内容や授業内容で判断されるのが良いと思います。
中学校で不登校傾向だった場合は高校入試で不利になるか?
調査書には、登校日数が明記され、欠席理由が記載されます。
不登校を理由に不合格とすることがないように、こちらも県から各高校に通知されているとのことです。
公式見解は以上ですが、実際の場面では、書類に記載自体はされているので、総合的に評価する場合の一資料にはなるのではないでしょうか。
いずれにしても、その生徒さんが、入学後、高校授業についていき、通学を継続できるかというところが認められれば入学受け入れとなると思われます。
特別支援学校の位置づけについて
これまで紹介したとおり、県立の普通科高校や工業、商業、農芸などの専門系高校には、特別支援を受け入れる体制を県としては用意しています。
では、これとは別で県立の特別支援学校がありますが、違いはどこにあるのでしょうか?
特別支援学校は、卒業後も特別支援が必要な人がスムーズに就労できることを目的にしたカリキュラムが手厚いということが特徴として挙げられます。
たとえば障害者採用枠での求人や就職指導に手厚いのもその一つしょう。
一方、療育手帳を持っていて県立高校に在籍する生徒もいるとのことです。
その場合は、個別にその高校の特別支援コーディネーターと相談して、障害者採用などの求人を探していくそうですが、高校のほうにそのような求人やノウハウが少ない場合もあるので、手探りになることは事前に理解しておくと良いでしょう。
一般的な高校では集団指導および進学といった統一的な目的で3年間が進むので、高校の授業内容と卒業後の進路のことを考えて、学校選びをされることをお薦めします。
以上、個別的対応が必要なケースが多いので抽象的な内容の紹介になったかもしれませんが、今後の教育方針や進路選択の参考となれば幸いです。
京進スクール・ワン四日市ときわ教室
住所:三重県四日市市城西町4-21 ときわビル1階東
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教室長:吉川(よしかわ)
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