ゲームのように楽しんで勉強しよう!~ゲーミフィケーション理論~

2023年1月13日金曜日

勉強方法

t f B! P L
~2022年12月教室通信の内容を再編した記事です~



ゲーミフィケーションとは?


京進スクール・ワン四日市ときわ教室の吉川です。

ナムコ・コーエーのゲームクリエイター(野球ゲームのファミスタの開発者)の岸本好弘さんの講演会に、数年前に参加したことがあります。

その時のテーマが「ゲーミフィケーションと教育」でした。

ゲーミフィケーションは、遊びの「ゲーム」から由来します。

ゲーム以外の物事にもゲームの要素を取り入れて、ゲームのように楽しむという理論です。

勉強も面倒なもののはず。
そんな勉強を、ゲームのようにして楽しいことに変えることはできないでしょうか?

「おもしろき こともなき世を おもしろく」
とは高杉晋作の名言ですが、一見おもしろくないものも、自分の心の持ちようでおもしろいものにしていけます。

保護者様は家庭教育の中で、そして生徒さんは自分で自分を楽しくする工夫を、このゲーミフィケーションで見つけていきましょう!

人気ゲームの6大要素


売れるゲームには、売れる法則があるらしいです。
ゲーミフィケーション理論では、売れるゲームには次の6大要素がかならず入っているといいます。

1.能動的参加

ゲームは、プレイヤーが遊びたいからプレイしつづけます。
自分からノリノリでやっている気持ちを、ずっと持ち続けられるゲームが良いゲームです。

勉強は強制されがちですが、本来、新しいことを知りたいという欲はヒトの本能。
いかに「自分が望んでやっている」と思う時間に変えられるか? です。

2.賞賛演出

たとえばゲームでステージをクリアすると大げさに花火が上がって、キャラが飛び上がります。
プレイヤーがなにかすると、大げさに賞賛して、気分を上げる仕組みがてんこ盛りです。

京進の「ほめる指導」もこのゲーミフィケーションに基づいていますが、ゲーム画面のいろんな称賛演出を目の当たりにすると、私たち塾の授業もまだまだです。

3.即時フィードバック

画面をタップするとジャンプする。よく使うボタンは、画面の一番上にある。
こう書くと当たり前ですが、人気のあるゲームはとにかく直感でわかりやすい。
説明書を読まずに、ゲームしながらゲームを理解できるのが理想。

勉強でたとえるなら、教科書を字面通りに追わずに興味関心と理解を深めていくアプローチがほしいです。

4.自己表現

ゲーム内では、プレイヤーが自分の好きなように表情・服装などをカスタマイズできます。
これは一種の自己表現を可能にしているということです。

自分らしさを表現できるんだという感覚を持たせると、自分事としてのめりこむ。

勉強のときも、教科書の情報をそのまま受け取るのではなく、時には自分好みにカスタマイズする。ノートまとめの内容に工夫がいろいろできそうです。

5.成長の可視化

敵を倒すとお金や経験値がたまり、時にはレベルアップする
。強いアイテムを買えば、プレイヤーはさらに強くなる。成長すると称号やグレードがつく。

ゲームを形づくるのは、すべて数字だということに気づかされます。

教室にも塾ポイント制度やリ京進リーチング学習手帳の数値目標がありますが、ゲットして嬉しいものであることが大事です。

称号・グレードの設定は、考える余地があります。

6.達成可能な目標設定

最初のチュートリアルでは、だれがプレイしてもすんなりクリアできます。
ゲームを着実に続ければ、倒せない敵はいないのです。勉強も・・・?

勉強が苦手な子ほど、目標設定が低すぎたり高すぎたりして、ちょうど良い目標達成が苦手だという心理学の実験結果がありました。
その難易度調整は、生徒さん自身ができるのか、誰かがゲーム設計をしたほうがいいのかというところを考えると良いでしょう。


 この6大要素すべてが盛り込まれた勉強システムを構築すれば、眠気も疲れも吹っ飛ぶ“ハマる勉強”の完成です。

ゲームはゲームでも、今の時代に合わせたゲーム作りで!


今は、家庭用ゲーム機よりも、スマホで無料のアプリゲームをする人が多い時代です。

同じゲームと思いきや、昔とはかなり感覚が違うといいます。

深田浩嗣さんの『ゲームにすればうまくいく』(NHK出版、2012年)では、親世代の家庭用ゲーム機と現在のゲームアプリ・オンラインゲームとの違いをこのように説明しています。

オンラインゲームやソーシャルゲームなどのプレイヤーは、いってみれば「ひまだから時間つぶしにプレイしてみるか」程度の低いモチベーションしか持っていません。それゆえにゲームを提供する側は、たとえば五分、一〇分という短い時間でプレイヤーに夢中になってもらうための工夫を凝らし、洗練させる必要がありました。(深田氏前掲書より)

短時間で夢中になってもらうことが現代のトレンドだということです。

そこで、今のスマホゲーはリピート率を上げるために、こんなゲーム作りをしています。

  • 期間限定のイベントを盛り込む(その期間にやらないと損をする)
  • プレイしない間に、アイテムが奪われるかもしれないシステムにする
  • しばらく放置すると、プレイヤーの体力が回復するシステムにする
  • しばらく放置すると、新しいアイテムが登場したりする
  • チームを組まないと倒せない敵が存在し、時々仲間から助けを求められる

つまり、放置していても、ときどきゲームを起動すると、得をするよというゲーム作りをしています。受け身姿勢でも、これで継続できるのです。

さあ、これを勉強に置き換えると・・・?


人気がある授業の例(きっしーの大学の講義)


冒頭で紹介した岸本好弘さんは、東京工科大学の教員時代にしていた授業でゲーミフィケーションが取り入れていたといいます。
たとえば次のような具体的なテクニックをおっしゃっていました。

能動的参加

・4人1組にして、学生同士で宿題の答えあわせをする形式にする。

オレだけやってきてない…?と、チームの中で損をするので、やっていない人がやるようにする仕組みにする。
こうすると、大体みんな手を上げる(宿題をする)ようになるという恐ろしい話。


・学生が発言(質問や回答)したら、専用カードにスタンプを押す。

カードのデザインが大事だそうです。
岸本さんは自らを「きっしー」と名乗り、カードをブランド化していました。

・学生に「これ作ってくれないかな?」と、勉強以外で何かを作ってもらう。
(ロゴやキャラクターなど)

その作った作品をみんなで投票して、採用したらその作品を授業の色んな場面で使う。

賞賛演出

・学生が発言するたびに、拍手とほめことばを欠かさず行う。

良い発言には「すばらしい質問だ」
微妙な発言でも「うん、ユニークな発言だ」と肯定。

即時フィードバック

・毎週、学生が提出したレポートにコメントをつけて返す。

量が多い場合は、ホームページに掲載して、臨機応変な形でフィードバックする。
方法はどんなでも良いので、とにかく「即時」が大事だそうです。

自己表現

・恥ずかしがり屋の学生にも、「騙されたと思ってやってみなよ?」の言葉

はにかみながらもやってくれるように水を向ける。

成長の可視化と、達成可能な目標設定

・途中結果を発表する。

期末試験後に成績発表ではなく、半月に1回ぐらい、途中の成績を発表する。
途中結果を発表すると最初の授業であらかじめ言っておくと、学生が意識する。
評価システムもあらかじめ公開しておく。質問すると何点加算など。
加点制にして、減点制は導入しない。
あと何点で単位がもらえて、逆に、このままだとまずいと数値でわかるので、生徒が毎回の授業に出席する(離脱率が低い)

実際、学習する時に想定される問題は?


先ほど紹介した岸本さんの例は、あくまでも大学生向けの講義スタイル(集団授業)です。

たとえば私たち京進スクール・ワンは個別指導スタイルですので、そのままでは使えません。家庭学習でも同様でしょう。

つまり、ゲーミフィケーション理論をどのように生徒さん一人一人の勉強に落とし込んでいくかは、各教育機関(学校・塾)、各先生、各ご家庭、各生徒さんの創意工夫やカスタマイズにかかっています。

これまでの内容をふまえて、私が個別指導の場面でゲーミフィケーションの視点を導入するとするなら、次のポイントを挙げます。

  1. 口でほめる以上の賞賛演出”はないか?
  2. 説明書を読まずに、ゲームしながらゲームを理解できるのが良いゲーム。では”テキストを読まずに、授業しながら授業が理解できる”案はないか?
  3. 自分らしさをゲーム内で表現できるんだという感覚を持たせると、のめりこむ。では、授業中に生徒が自分らしさ(カスタマイズ感、選択肢感)を表現する余地は取り入れられないか?
  4. 何をすると、”不変な称号・グレード”が得られるのか?
  5. 飽きっぽい子も、すぐ授業に戻ってこれるシステムを構築できないか?(得か損をする、チーム制など、今のアプリ開発者のゲーム作りを参考に)
  6. 授業最初の5分が勝負。では、授業最初にゲーミフィケーションの要素を盛り込むことが正解では?
  7. ゲームは世界観が命。授業にも、一種の「世界観」を演出できないか?

いま挙げた7項目に対して、私が明確な答えを持っているというわけでは(残念ながら…)ありません。

むしろ、ゲーミフィケーションの核心は、ひとりひとりが楽しくしていこうという気持ち、能動的参加にあると思います。

その点で、塾の先生も、保護者の方も、そしてできれば生徒さん自身も、全員が”勉強に立ち向かう当事者”として考えていきましょう。


考え、実行していく取っ掛かりとして2つの方法をお薦めします。

1つ目は「最初の5分で勝負は決まる」ということ。

良いゲームなら、飽きる前に楽しさが来る仕組みになっているから、続くのだと思います。
勉強でたとえるなら、勉強開始の5分が勝負です。
飽きる前に、いかに楽しませることを作れるかにかかっています。

京進では講師研修の中で、授業最初に必ず「雑談」をしようという仕組みがありますが、そこの演出に新味を入れる余地があります。


2つ目は「アップデートが大事」ということ。

今日流行のゲームはよくアップデート(更新)をします。
ゲーム会社は、日々、プレイヤーがどこでプレイを止めてしまったかという離脱率を見て、より良いゲーム作りに反映します。
今どきのゲームは、発売する前より、発売してからのほうが大事なのです。

勉強に置き換えるなら、今している取り組みや約束事も、どこかでアップデートすることで「離脱」を防ぐということ。

ここにヒントがあります。

つまり、始めるまでに気を取られるのではなく、始めてからが大事ということ。

何事も、続けることの大変さは皆様もよくご存じのことと思います。
ふつうならそこは「忍耐」で押し通しがちですす。
しかし、忍耐はある種、忍耐して良かったという成功経験を持つ者だけの"勝者の論理"とも言えます。

ここを、勉強ができる教育者や大人ははき違えてしまう場合があります。
成功体験・達成経験が少ない、勉強が苦手な子へ視線を合わせることが、継続への第一歩かもしれません。

根性論だけで勉強を語らず、勉強に「自分の楽しいこと」を盛り込むことで、学習習慣を「仕組み化」してみませんか?

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京進スクール・ワン四日市ときわ教室
住所:三重県四日市市城西町4-21 ときわビル1階東
電話受付時間:15:00~22:00(日曜・月曜定休日)
電話番号:059-329-7664
教室長:吉川(よしかわ)
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