この記事は、教室通信2026年1月号を再編したものです。
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保護者懇談より
京進の個別指導 スクール・ワン四日市ときわ教室の吉川です。
昨年度、夏と冬に保護者懇談を開催しました。
その時に複数の方から伺ったのが
「(教室では勉強していると思いますが)家での様子は変わらず、家で勉強していません」
というお悩みでした。
特に「休日の勉強時間ゼロ」問題です。
今まで勉強しなかった子が、塾で勉強し始めること自体は間違いなく成長です。
しかし、塾で様子が変わっても自宅の様子が変わらなければ、1週間の大半の時間は今までのままです。
ヒトは大半の時間を過ごす環境でできあがる生き物ですから、学力向上という点ではほぼ現状維持の生き方であり厳しいでしょう。
塾に入ることで、塾以外の日頃の動きにも変化が起こると期待されていらっしゃることを重々承知しています。
懇談の時、予想外の生徒さんでその相談があり吉川もショックでした。
「え、そんなにやっていないの?」と。
というのも、京進にはリーチング学習手帳という学習ツールがあり、毎回の授業で毎日決めた目標が○か×かの報告を見ているからです。
生徒さんによって内容は多種多様ですが、手帳の全目標がほとんど×という生徒さんは見かけません。ある程度○がある以上、そこではやれているんだな、手帳のおかげで少し成長できたねというプラス評価をします。
この○×は自己申告による記入なので実際はどうなのかとか、保護者様が気づかない時間・場所でやっているだけ、など諸要因を挙げだすとキリはありません。
また、その詳細に切り込むという行為は「その人を信頼していない」という心理的サインまるだしになります。
「ほめて伸ばす指導」においては、その人を信頼するのが大前提です。
リーチング手帳の目標設定はそのような「信頼」の姿勢で生徒さんの変化・成長をうながすというコンセプトの下で運用してきました。
ほめても、やる気は上がって行動は変化しにくい!?
トーマス・ウェブ氏とパシャル・シーラン氏という2人の心理学者が「Does changing behavioral intentions engender behavior change?」という研究をアメリカ心理学会の雑誌『Psychological Bulletin』(2006年)に掲載しました。
タイトルを意訳すると「やる気を変えれば、行動は変化するのか?」です。
そりゃそうなるんじゃないのと思われるかもしれませんが、やる気を上げても、行動変化は少なかったという悲しい実験結果が出ました。
この場合の「やる気」は、自分自身から湧き出たやる気(内発的動機)というより、元々やる気がなかった人に、親や先生がやる気を出せるように様々な働きかけを行った結果、「新しくこんなことをしてみよう!」と思うようになったという意味でのやる気(外発的動機)です。
実験では、実際に働きかけをしたら約8割の人はやる気が上がり、新たな目標を作るなどの成果がありました。しかし、実際にその目標どおりに行動を変化させた人は3~4割ほどに下がりました。
この8割と3~4割という数字の差は大きいです。
やる気を増やすために褒めて手帳目標設定を取り組んでも、生徒さんの行動は半分以下が変わらないという統計結果です。
それでも効果はゼロではないとも言えるので、褒める指導も目標設定も「変化の入口」としての意義は変わりません。
行動できない理由をつぶすことが大事
やる気が上がっても、いざ行動できない原因には次のようなものがあります。
- 悪い習慣(他にハマっているもの)が強く、それに負けてしまった。
- やろうと思っていたが、悪気なく、いざその時になって忘れてしまっていた。
- 具体的な計画不足で、何から始めれば考えるのがストレスでやめた。
- 急用や体調不良などの突発的な出来事に翻弄された。
言いかたを変えれば、この4つの原因をつぶせば行動が変化するのではないでしょうか?
新年度の教室方針は、この4つの行動変容阻害要因をつぶすことに取り組みたいと考えています。
まだアイデア段階ですが、現在考えていることをまとめてみます。家庭教育にも取り入れていただければ幸いです。
悪い習慣を撲滅するために
よく「to doリスト(やることリスト)を作れ」と言いますが、「not to doリスト(やらないことリスト)」を作るほうが大事かもしれません。
新しい目標を始めるにはエネルギーが必要で、1月に立てた新年の抱負の約80%は2月までに挫折するという話もあるとか。
それに対して、「今していることを捨てる」から始めてみませんか?
そのほうがエネルギー消耗が少なく、逆に新しいことをするためのエネルギー備蓄につながるでしょう。
そもそも目標設定の順番が違っていたのですね。
スマホ・ゲーム依存症関係の生徒さんのほか、部活に全振りしてそれでto doが埋まっている生徒さんは、一度身の回りに溜まっていることの「not to do」を決めると人生変わるかもしれません。
その時になったら思い出すために
人間にはヒューマンエラーがあるということを前提にしたいです。むしろ、人間は自分で思い出せないのが普通ぐらいの発想でいきましょう。
この発想の転換が意外と重要です。
吉川が見るかぎり、ここを軽く受け止めて発想を変えていないと思う人が、だいたい次もやらかしています。早く発想を変えればいいのにと思いますが、発想を変えるという行為はその人の感受性・価値観に関わる部分なので、気づきを与えて見守ります。
ちなみに私は自分を信用していません。ならば機械に思い出してもらうしかないということで、基本的には通知・リマインドに助けてもらう人生です。
(無料のGoogleカレンダー1本でほとんどすべての仕事ができました)
しかしここで注意点が一つ。
通知が来た時はやるが、それだけでは最終的に習慣にまではならないという実験結果があります。
2015年にアメリカで行われた研究によると、115種類の習慣形成(リマインド通知系)アプリで試したところ、通知が来ていた時はやっていたことが、いつかアプリを終えて通知が来なくなった後はやらなくなったという悲しい実験です。
つまり、無意識に毎日できるという習慣形成に通知アプリだけでは×ということです。
もし習慣にしたいなら、「●時に通知」というロボットのような生活にするのではなく、「ハミガキの後にする」「お風呂の後にする」「晩ご飯の前にする」「ねる前にする」のように、すでに毎日習慣づいていることの前後にセットで動くと良いかもしれません。
はじめたては「●●の前にする」では腰が重いので、「●●の後」にしたほうが、ついでにできると思います。ヒトは何かしらの行動をしている時に「ついでの行動」が勢いづくからです。
ただし、脳科学学習法的に学習時間は「ご飯の前」が推奨です。
最初に始める勉強を明確にするために
「めっちゃ勉強する」「教室に自習に行く」などの新しい目標を決めても、何の勉強からするか決めていなかったら、それ自体を考えるのがストレスで、やっぱやめたとなりがちです。
新年度から、教室全体としてこのような「最初の行動を起こさせる」ことに取り組んでいきたいと考えています。特に「休日の勉強時間ゼロ」問題に切り込みたいです。
しかし最初の行動は「自宅」で始まるので、家にいない私たち塾がどのように工夫できるか。
日曜は講師を休ませて業務負荷を下げなければなりません。
つまり、塾が稼働する月曜〜金曜の間に働きかけて、土日に生徒が自走する取り組みを仕組み化したいのです。
また、毎週、ネタを用意しないといけない取り組みは持続化しません。どんな講師であっても、毎週、ネタやアイデアに困らなくてすむ「金曜に仕掛けて、来週にフィードバックする取り組み」です。
さらに別の問題として、ヒトの習性として管理しすぎるとその人の自立性が失われます。
バランスやさじ加減が極めて大事です。
年末からずっと考えていたのですが、現在アイデアとしてあるのが「日曜の1秒写真作戦」です。
◆ 日曜の1秒写真作戦
1.週末の授業で「休日、最初にやることを手帳で決定」+「通知のセット」
2.休日、生徒が最初に開けたページだけを教室に送信
3.週明けの授業で写真を確認
通知と写真だけで完結させる仕組みです。
それ以上を求めないシンプルな運用が持続化のために重要です。
脳科学的にも、中途半端にやりかけたこと(最初に開けたページ)は、その中途半端な状態が気になるので結局やりだすという話があります。
ページを開けて、また、そのまま閉じるという生徒はいることを否定しませんが、そこはさすがに信じたいです。
そのまま実行に持っていくための保護者様のご協力もいただきたいと思います。
塾としては、最初の行動を起こすことに特化するだけでも十二分の取り組みと考えています。
しかしこのシンプルな取り組みでさえ、ハードルは山積みです。
まず全員がスマホを持っていないこと。
スマホ未所持の方はご家庭のスマホ経由にするか、カバンなどにリボンなどを付けて通知のしるしとするかなどの多様性も想定して対応する必要があります。
次に、スマホを持っていてもご家庭によっては勉強部屋にスマホを持っていかないルールもあると思います。
教材とはいえ自宅内画像ですから、開けたページを撮影することが許されるかどうかという点に配慮する必要があります。
次に、通知を設定するアプリを統一しないと講師の運用負荷が高まること。
iPhone、アンドロイドともに最初から入っている時計アラームが無難でしょうね。
次に、生徒が教室LINEに登録することや通知アプリに介入していいのかという問題。
安心安全の考え方から、保護者様の事前同意許可が必要です。
次に、ご家庭の参加率により実施する生徒としない生徒が混在する場合、講師の運用が複雑化すること。
そして最後に一応ですが、週明けの私の画像確認→講師手配作業が甚大なこと。
3月までには考えを固めて「新年度の教室方針のご案内」として塾生の皆様に文書をお配りする予定です。
なお、最初に開けるページは「好きな科目・得意な科目」がオススメです。
勉強に気乗りしない時は得意科目からの方がスムーズに学習スタートできるという話が、リーチング学習手帳冒頭の「脳科学学習法その5」にも書いてあります。
突発的要因にふりまわされないために
最後に、急用や体調不良などの予期せぬ事態で実行できなくなる問題です。
ただ実行できないだけでなく、「続かなくなる」原因にもなります。
吉川の経験上、この要因は軽く考えないほうがよく、特に体調不良がその後に甚大な影響をおよぼすケースに多く出会いました。
数日の体調不良が不登校の入口に直結します。
そうならなくても、試験前の体調不良が原因で本来取れた得点が取れず、上がっていた成績が低迷する生徒さんも1人2人ではありませんでした。
1日休んだら1日分の学習の遅れと思われるかもしれませんが、塾の週1回の授業で言うと2週間の遅れです。
それまでの学習内容や習慣がゼロに戻る生徒さんさえ出ます。
1回の休みで学習の歩み100歩後退というイメージが正しいです。
「体調管理も学力のうち」と発想して手洗い、うがい、睡眠時間などの徹底をしていきましょう!
京進の個別指導 スクール・ワン四日市ときわ教室
住所:三重県四日市市城西町4-21 ときわビル1階東
受付対応時間:火曜~金曜の16:00~22:00
電話番号:059-329-7664
教室公式LINE:https://line.me/R/ti/p/%40smq1787v
教室長:吉川(よしかわ)
web予約(24時間受付):https://reg18.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=mjqd-maraob-3de8341d99c0daa975f12ed6ea3415de
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